会議は踊る、されど進まず

【あらすじ】

今月の会議も全く進歩がなかった。

ここで悩んでいても仕方が無いのは分かっている。

いつかの答えのために、思考は続いていた。

【登場人物】

 1   リーダーポジション。

       会議でいつもマウントをとりがち

 

 2   書記。なんだかんだまとめ役

 

 

 3   よく話が脱線する。現実逃避の天才

 

 

 4   優しさの塊。妙に女学級委員長っぽさがある

 

 

 5   卑屈の鬼。何しでかすか分からない危険因子

【本文】

 

 

 

 5人が横並びの椅子に座り、黙り込んだまま正面を見つめている

 

 

 今月の脳内会議

 議題に「手を繋ぐことに対しての解決策」

 と書いてある

 

 1「決まったか?」

 2「いや…」

 1「お前もか?」

 3「うーん」

 4「…」

 5「(考える人のポーズ)」

 

 1「これじゃあ時間の無駄だぞ」

 4「もーちょっと待って」

 1「あと3秒…さん、にい、いち」

 3「ストップ!!…そんなんで焦って決めるもんじゃないでしょ」

 2「あのさぁ、お前は決まったんかい?」

 1「決まった」

 234「えぇ?(思わず立ち上がる)」

 3「おい、まさか…」

 1「いいから答えを出せ」

 2「そう言われても…」

 1「おい…なんでお前はずっと黙ってるんだ」

 5「…」

 1「おい、聞いてんのか」

 5「…」

 1「聞かれてんだから、返事しろ!」

 5「…言いたくないから、喋りたくない」

 1「はぁ?!」

 5「…しゃべったら、怒るじゃん」

 1「なんだと?」

 2「落ち着け落ち着け」

 3「あーっ!」

 1「なんだ急に」

 3「犬が欲しい」

 2「犬種は?」

 3「ポメラニアン」

 1「乗るな!そんで、犬で現実逃避をするな!」

 3「はぁ…肉球ぷにぷにしたい…」

 4「…ねぇ、なんで言いたくなかったの?反対意見だから?」

 5「(頷く)」

 4「…絶対反対されるから?」

 5「(頷く)」

 4「…とりあえずさ、紙に書いてみせてくれる?」

 5「(頷く)」

 

 画用紙の「(不適切な表現の為、お見せできません)」文字を見る。

 その文字を見るうちに顔が真っ赤になっていく

 

 4「は…恥ずかしいよ!ダメだよこんなの!」

 1「どうした?」

 4「えっ?そうゆうことなの?捕まっちゃうよ!ドスケベ大魔神だよ!」

 1「なんだよそれ」

 4「でたなドスケベ大魔神!」

 1「は?」

 4「あーっ!もう!こっち見ないでよ恥ずかしい!!この下心満載のオードブル!」

 1「だから、何言って…」

 

 「(不適切な表現の為、お見せできません)」の文字を見る

 

 1「うわあああ!!!!」

 3「はぁ〜わんちゃんにぺろぺろされたい」

 2「うわ、なにこれ」

 1「刺激が強すぎる!」

 5「…いいか、おまえの考えていることは最終的にこうなんだ」

 4「うっ!こっちに向けないで!」

 5「これだけの覚悟が、お前にあるんかい?」

 1「くっ…」

 4「えっ?ウンテルデンリンデン?」

 2「やばい!こっちは正気を失っている!」

 3「いや、触るだけやないかい!」

 2「あ、こっちは冷静になった」

 3「わんちゃんみたいに、こうにザーッとお腹触ればいいべな?」

 1「犬と一緒じゃないだろ!」

 3「同じ生き物だんべな!」

 1「こっちは霊長類なんですぅ一緒じゃありませぇーん」

 5「んん?犬じゃないから触れられないってことですかね?」

 3「そう解釈していいと思います」

 5「だから、火傷して黒歴史になるんだからやめなよ」

 1「…返す言葉が見つからない」

 4「ちょっと触れただけでも冤罪になりかねない」

 2「とりあえず書記だから書くけど、『触るのは怖い・恥ずかしい』でオッケー?」

 

 全員頷く

 

 2「…触られた時は?」

 1 「怖い」

 3「マッサージは大丈夫なのに?」

 4「嫌悪感がある」

 5「行為を好意と受け取れない」

 2「マイナスイメージだね」

 4「マイムマイムって覚えてる?」

 2「覚えてるよ。運動会でやったやつ」

 3「替え歌も流行ったね」

 4「あれさぁ、強制的にするじゃん」

 2「するねぇ」

 4「自分の手汗が気になってそれどころじゃなかった」

 5「わかる」

 1「なにが、マイムベッサッソだよ…」

 5「わかる」

 4「あの頃から苦手意識ってあったんじゃないの?」

 2 「あったかもね、周りも周りだし」

 3「やっぱり、犬飼った方がいいんじゃない?」

 1「結局犬かよ…飼うの大変だぞ」

 4「やってみる…?マイムマイム」

 

 ぎこちない形でマイムマイムを踊る5人

 

 2「どう?やってみて…」

 4「さすがに他人じゃないから分からないや」

 1「なんだこの時間」

 5「やはり根本的な解決しかないのか…」

 2「何かいい案でもあるの?」

 5「ちょっと協力して」

 3「えっ 私?」

 

 5が3にいきなり抱きつく

 びっくりした3は言葉を失ったまま

 固くなっている

 周りも絶句している

 

 5「(荒い息)」

 4「なになになにどうしちゃったの?」

 1 「こっわ…」

 5「こうされるの、1番怖くない?」

 2「うん…確かに怖い」

 5「…ごめんね、びっくりさせちゃったね」

 3「…」

 4「うわぁ…当時の言い方まで完コピ…」

 

 3がとぼとぼ席に戻る

 

 5「自分のダメージも…でかいな…」

 1「これじゃあまるで、ウルトラダイナマイト…」

 2 「タロウがやったやつね」

 5「犬、こんなことしないもんなあ…あ、大丈夫?」

 4「こいつ過呼吸になってんじゃん!」 

 5「吸ってー吐いてー吸ってーはい、吐いてー」

 3「ごめん、もう大丈夫」

 2「感想を、どうぞ」

 3「持て余した性欲発散してんじゃねーよバーーーーカ!」

 1「口悪っ!」

 5「はぁあ傷ついたあぁもう無理」

 3「あ、スッキリした」

 4「ちょっと今ナイーブなんだからさー」

 2 「まぁでもこれで分かったね」

 5「柴犬の…おしり…食パン」

 2「何なの?冷静さを欠くと犬にはしるの?」

 1「過去の自分の自衛のなさが身に染みる」

 3「激しく同意」

 1「なんたって難しい年頃だもんな」

 4「こんなんじゃ、一生付き合えないよ…」

 

 全員、深いため息

 

 

 2「前向きに。前向きに考えよう」

 5「人間はでかいボルゾイ」

 2「ボルゾイの方がでかいかもねそれ」

 1「お前はポジティブな考えがあるのか?」

 2「せっせっせーの、よいよいよい」

 

 1とアルプス一万尺を始める2

 

 3「これならいける」

 1「使える幅が狭すぎない?」

 2「これならマイムマイムよりかはナチュラルに触れる」

 1「た、確かに…」

 3「アルプス一万尺作戦」

 2「問題は向こうが急にアルプス一万尺を始めてきたら困るという点」

 1「それは困る」

 4「まず急にアルプス一万尺はしない」

 3「アルプス一万尺作戦中止!」

 5「握手会…」

 2「え?」

 5「握手なら…正々堂々とできる」

 4「ファンです。いつも応援してます!…うん、大丈夫」

 3「この前のアルバム聴きました…めっちゃ良かったです!」

 1「好きです!シンプルに好きです!」

 2「ほぁ〜なるほどねぇ、握手…」

 5「いつも書記、ありがとう」

 2「…こちらこそ」

 1「…決まりだな」

 3「お手!」

 4「ワンッ」

 3「これでもいけそうです隊長」

 1「次回は犬禁止」

 3「え〜っ?」

 

 (続いてのニュースです。速報です。アイドルの握手会で客が刃物を振り回し、怪我人が出る事件が発生しました。刃物を持った男は駆けつけた警官隊に取り押さえられ現行犯逮捕となりましたが、会場では混乱状態が続き、握手会は中止になりました。)

 

 

 全員「もう、無理〜!」

 

 

 

 幕